第一話 飢狼と傭兵 | ||||||
【ストーリー】 かつてアインは、気ままな傭兵として生計を立てていた。その日、シュウの依頼でレイを尾行していたアインは、水を求めてとある店の中へ。中にいた女店主にガソリンとの交換をもちかけるアインであったが、彼が傭兵であることを知るやいなや、女はアインに水をぶっかけた。元軍人であった彼女の夫は、傭兵の裏切りによって命を奪われていたのだ。そしてその店の奥では、残された一粒種の赤子が泣き声を上げていた。その後、店から出たアインは、尾行対象であったレイから話しかけられるという失態を犯してしまう。双方とも苛立っていたことも重なり、そのまま戦う羽目になった二人は、傍で暴れる暴徒達をも巻き込んでの大乱闘を繰り広げる。しかし駆けつけたシュウの助けもあり、アインはなんとか危機を乗り切るのだった。そんなアインに対し、先程の店の女が一杯の水を差し出してきた。戦いの中でアインが店に危害が及ばぬようしていたのを、彼女は見ていたのだった。 |
第二話 女を巡って | ||||||
【ストーリー】 傭兵として大きな戦いに参戦することになったアイン。戦場は既に臨戦態勢に入っていたが、そこでアインはあの女主人の姿を目にする。この世を女手一つで生きていくことはできないと考えた彼女は、食料一か月分でアインを用心棒として雇うため、アインの現れそうなこの戦場に訪れたのである。困惑するアインが返答に困る中、突如雲のジュウザが現れた。空気を読まずに女主人をナンパしはじめたジュウザにブチぎれたアインは、ジュウザに向けて、そして本来の仕事である戦の中で豪腕を振るう。その姿を見たジュウザは、アインと女主人が互いに気がある事を察し、そそくさと退散するのであった。だが、アインは結局女主人の頼みを断ることを選んだ。傭兵である自分は一つの場所に留まるのは趣味じゃない。度胸のあるおまえなら一人でも生き抜いていける。食料は赤子のために使ってやるといい。そう言ってアインは女の前から立ち去ったのであった。 |
第三話 救いたい女 | ||||||
【ストーリー】 シュウの依頼を受け、再びレイの監視を行うことになったアイン。その中で訪れたユダの街には、拐われた多くの女たちが集められていたが、そこにはあの女主人の姿もあった。呼び寄せたシュウと共に女たちを解放せんとするアインは、作戦通り、騒ぎに乗じてユダの城へ近付こうとする。立ち塞がるユダを退け、なんとか目的を達成するアインであったが、その直前に起こった謎の爆発により、ユダの城は崩壊を始めていた。助け出された女の一人・マミヤから話を聞くなどして女主人の行方を探すアインであったが、その姿を見つけることが出来ず、発見されたとき、彼女は既に瓦礫の下でその命尽きようとしていた。死ぬ間際、自らの子―――アスカをアインに託した女は、どうせなら世界をすくう英雄の子がよかったと冗談を言いながら息絶えたのであった。 |
第四話 傭兵狩り | ||||||
【ストーリー】 アインとアスカのぎこちない親子生活が始まった。アスカはすくすく育っていったが、次第に母の存在について聞くようになり、アインを困らせていた。そんな中、傭兵団のアジトに拳王軍が近付いてきているとの報せが入る。せっかくアスカが慣れてきたこの場所を失ってたまるかと命がけで抗戦するアインであったが、その少女にふりまわされるアインの姿は、次第に仲間たちとの確執を生み始めていた。敵軍の将であるリュウガを撃退し、なんとか勝利したアイン達であったが、その直後、別の傭兵団が攻め込んできた。敵対する組織が多いアイン達にとって、疲弊したこのタイミングは絶好の機会だったのである。瓦礫の影にかくれて泣いていたアスカを見つけ、ギリギリで撤退することに成功したアインであったが、彼らにはもはや帰る場所は残されていなかった。 |
第五話 弱肉強食 | ||||||
【ストーリー】 アジトを失った後も、他の傭兵団からの追撃を受け続けるアイン傭兵団。疲弊と、アインへの不信感は、遂に謀反という形になって現れる。裏切った仲間たちをもまとめて撃退したとき、アインのまわりにはもうアスカしか残されていなかった。それは義を持たぬ傭兵人生に訪れる当然の末路であった。勝ち続け立った人生の中で、始めて敗北に直面し、死を覚悟するアイン。そんな父に対し、アスカは言った。ママがいない私にはもうパパしかいない。だから負けちゃだめだと。その瞬間、アインはその目に生気を取り戻し、残りの人生をアスカのために生きることを誓うのであった。 |
第六話 賞金稼ぎ | ||||||
【ストーリー】 世が天帝支配の時代になると共に、アインは賞金稼ぎへと転身。帝都に賞金首を渡し、その報酬を得ることで生活を潤わせていた。そんな中、天帝に反抗する組織「北斗の軍」首領二人の首に1万ジュドルの懸賞金がかけられた事を知ったアインは、その本隊に遭遇する機会を得る。だがその片方は女であり、彼女がもう片方の男の女(?)であることを知ったアインは、渋々二人を見逃すことを決める。女首領が落としたイヤリングに、アスカが心惹かれるのを見たアインは、それを見逃す代償として要求するのだった。 |
第七話 女のために | ||||||
【ストーリー】 旅の中でマミヤと再会したアイン。だがレイの思いをずっと心に刻んで生きる彼女の顔には哀しみが漂っていた。それは、想い人を失ったアインが抱いていたものと同じであった。その時、村にファルコ率いる天帝軍が攻め込んできた。賞金稼ぎという身分から、自らが手引きしたのではないかと疑われたアインは、マミヤと協力して天帝軍を追い払うことで潔白を証明しようとする。同時にアインには、自らと似た境遇であるマミヤを守りたいという気持ちがあった。女に悲しみを背負わさぬためにも、やはり女がいる男を殺してはいけない。そう確信したアインは、いつか自分の「女」をマミヤに紹介する事を約束し、村を去る。後に約束どおりマミヤはアスカと対面を果たすが、アインと生きて再会することはなかった。アインが迎えた最期は、かつて女主人が望んだ英雄としての死に様であった。 |