自らの脚に刃をつき立てた子供を指し、サウザーは唱えた。シュウへの想いがこんな子供すらも狂わせる!愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。愛ゆえに人は苦しまねばならぬ・・・ 野盗に襲われ、惨劇の跡と化した村に差し掛かったオウガイは、奇跡的に生き延びた赤子の姿を発見する。その子が奏でる「特殊」な心臓の鼓動を感じたオウガイは、彼をサウザーと名付け、自らの息子として、そして自らの南斗鳳凰拳を継ぐ者として育てていった。拳の道に生きるが故、無骨な子育てしかできぬ自分を申し訳なく思うオウガイであったが、サウザーにとっては命の恩人であるオウガイと暮らす日々が何よりも幸せな時間であった。 オウガイとの修行の日々を経て、凄まじい勢いで拳の鋭さを増して行くサウザー。だが15歳となったその日、己が身につけたその拳で、サウザーは師オウガイを殺めてしまう。それは一子相伝である鳳凰拳を伝承するために乗り越えねばならぬ宿命であった。だがその哀しみを受け入れることが出来ぬサウザーは、その苦しみから逃れるため、愛を捨てる事を選んだのであった。 次代の南斗聖拳を担う者達が一同に集められた場の壇上に、サウザーは悠然と姿を現した。新たなる南斗鳳凰拳伝承者として・・・。南斗最強の拳を継ぐにはあまりにも若いその容姿に会場がざわめき立つ中、ひときわ声を荒げて罵声を飛ばすゴウライなる男に、サウザーは自らにかかってくるよう挑発する。勝負は一瞬で決した。二人が交錯したその瞬間、ゴウライの身体は大きく十字に切り裂かれていた。師オウガイが自らにこの拳を授けた理由・・・それは北斗を倒し、南斗が成し遂げられなかった覇権をその手に握るためか。それこそが師オウガイへの手向けとなるに違いない―――。若くして南斗の頂に立ったサウザー。そしてその姿を見つめる、在りし日のシュウ、レイ、ユダ、シン。後に南斗六聖拳を担う彼らの運命は、この日ゆっくりと動き出したのであった。 そして数年後。サウザーはかつて師に約束した覇道を成すため、聖帝十字陵にて北斗神拳伝承者であるケンシロウと雌雄を決しようとしていた。高々と宙に舞うその拳に師の想いを乗せて・・・。 |
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サウザー |
南斗鳳凰拳の伝承者。心臓の位置、秘孔の位置が表裏逆という特殊な肉体を持つ。 赤子の頃に村が野盗に滅ぼされるが、母が命を賭して守ってくれたおかげで生き延び、偶然通りがかったオウガイの手によって拾われて養子に。南斗鳳凰拳を学びながら、師オウガイの温もりに感謝する日々を送るが、15歳となった日に行われた伝承者となるための試練で相手が師オウガイと知らずに殺害してしまい、その大きな哀しみから逃れる為に愛を捨てて生きることを決意。鳳凰拳伝承者を襲名したことを披露目する場にて、その圧倒的な強さを同門たちに見せつけ、覇道を行くことを宣言した。 |
オウガイ |
先代南斗鳳凰拳伝承者。野盗に襲われて壊滅した村で赤子を拾い、常人と異なる鼓動を持っていたことから、その子「サウザー」を養子として迎え、次期南斗鳳凰拳伝承者として育成。拳のみに生きる無骨者であるが故に、サウザーに幸せな幼少期を送らせてやれない事を申し訳なく感じていた。同時にサウザーを誰よりも強くなるよう育て上げ、たとえわが身が朽ちようともその魂はいつも共にあるとサウザーに伝えた。 サウザーが15歳になった時、サウザーに目隠しをさせて己が相手であることを悟らせずに対戦し、その拳の切れ味の前に敗北。哀しむサウザーに、これが一子相伝の鳳凰拳の宿命であることを伝えながら息絶えた。 |
シュウ |
後の南斗白鷺拳の伝承者。リゾと共に、新たな南斗鳳凰拳伝承者の披露目の場に参加。若きサウザーの才を見抜き、挑みかかったゴウライを止めようとした。 |
レイ |
後の南斗水鳥拳伝承者。師と共に、新たな南斗鳳凰拳伝承者の披露目の場へと訪れ、若きサウザーの強さを目の当たりにした。 |
シン |
後の南斗孤鷲拳伝承者。新たな南斗鳳凰拳伝承者の披露目の場へと訪れ、若きサウザーの強さを目の当たりにした。 |
ユダ |
後の南斗孤鷲拳伝承者。新たな南斗鳳凰拳伝承者の披露目の場へと訪れ、若きサウザーの強さを目の当たりにした。 |
ゴウライ |
南斗聖拳の使い手の一人。顔の左側に大きな十字傷がある。 新たなる南斗鳳凰拳伝承者の披露目の場へと訪れたが、そのサウザーがあまりに若かったが故に野次を飛ばし、鳳凰拳が本当に南斗最強なのかを疑う声を上げた。サウザーからの挑発を受け、制止するシュウの手を払い襲い掛かるが、交錯時に身体を十字に切り裂かれて敗れた。おそらく死亡したと思われる。 |
リゾ |
シュウの友人。シュウと共に南斗鳳凰拳の新たな伝承者が披露目される会合へと訪れ、若きサウザーの強さを目の当たりにした。 |
レイの師 |
幼きレイと共に、南斗鳳凰拳の新たな伝承者が披露目される会合へと訪れた男。姿を現したサウザーに器を感じ、いずれあの男が南斗の未来を握ることになるかもしれないとレイに語った。 南斗水鳥拳の前伝承者であるロフウとは別人の模様。 |
オウガイの従者達 |
オウガイと行動を共にしていた男達。野盗に滅ぼされた村を探索していたとき、とある女が息絶えながら守ろうとしていた赤子(後のサウザー)を発見した |
サウザーの母 |
サウザーの母親。村を襲った野盗に殺されたが、発見されたときには我が子を守るように果てていた。 |
野盗に襲われた村人達 |
野盗に襲われて壊滅した村の人たち。オウガイ達が通りがかった時には、サウザーの母を含む全員が殺されていたが、唯一赤子のサウザーだけが生き残っていた。 |
村を襲った野盗 |
サウザー親子らが暮らしていた村を襲った盗賊達。 |
仲の良い親子 |
幼少期のサウザーが目撃した仲の良い親子。両親の温もりを知らぬサウザーの心に一抹の寂しさを覚えさせた。 |
サウザーの対戦相手 |
とある武道場にて幼少期のサウザーと模擬試合で対戦した男。攻撃を跳躍でかわされると同時に一撃を喰らい、ヒザから崩れ落ちた。 |
サウザーの付き人 |
サウザーの南斗鳳凰拳伝承者襲名を伝える会合にて、サウザーの背後に立っていた2人のフードの男。サウザーの襲名に難癖をつけてきたゴウライに対し退くよう命じ、従わぬ場合は己たちが相手しようとした。 |
南斗の拳士達 |
南斗聖拳各流派の使い手たち。次期鳳凰拳伝承者を披露する場に一同に集められ、幼くして南斗最強の拳の使い手となったサウザーの強さを目の当たりにした。 |
レム |
ターバンのガキ。シュウを殺された復讐心からサウザーの右腿に釘を突き刺した。 |
ケンシロウ |
北斗神拳伝承者。物語から数年後、聖帝十字陵にてサウザーと雌雄を決する戦いに臨んだ。 |
南斗鳳凰拳 | |
南斗聖拳最強を誇る一子相伝の拳法。その伝承者は南斗を導く覇道を往かねばならない。オウガイよりサウザーへと伝授され、15歳を迎えたサウザーが、目隠しをしながら相手(師オウガイ)を倒すという試練を乗り越えたことで伝承者となった。 作中ではサウザーが新たな伝承者となったことを伝えるための集会が開かれており、代々の慣例である可能性もある |
極星十字拳 | |
南斗鳳凰拳の奥義の一つ。相手の体を十字に切り裂く。この技と思しき拳で、サウザーがゴウライを倒している描写がある。 |
北斗神拳 | |
南斗聖拳と対を成す一子相伝の暗殺拳。サウザーは、師オウガイが自らに南斗鳳凰拳を教えたのは北斗神拳を葬り、この世の覇権を握るためであったのかもしれないと勘ぐった。 |