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北斗の拳 イチゴ味 外道伝





北斗の拳外道伝
HEART of Meet
-あの日の約束-



ストーリー
 サザンクロス――――。遂に宿敵シンのもとへとたどり着いたケンシロウの前に、一人の巨漢が立ち塞がった。男の名はハート。北斗神拳を無力化する特殊な肉体、そこから繰り出される攻撃はケンシロウからダウンを奪うほどのパワーを備えていた。だが、かつての彼は、今の姿からは想像できない、弱くて脆い少年であった。

 病弱な14歳の少年、アルフレッド。その弟を心配する心優しい姉、サラ。裕福な家庭に生まれたものの、幼くして両親を事故で失った姉弟は、家政婦のエマと共に日々を暮らしていた。

 校内の木で羽を休める二羽の鳥。それがアルフレッドのものであることに気付き、胸騒ぎを覚えたサラは、急いで家へと戻る。倒れていたエマから告げられたのは、アルフレッドが二人の男に連れ拐われたという悲報であった。誘拐犯たちの後を追い、得意の剣術で弟を助け出そうとするサラ。しかし女の力では屈強な男達に敵うはずも無かった。自分を守れるくらい強い男になるのよ。そう言い残し、サラは息絶えた。彼女の体から流れ出る真っ赤な血に、アルフレッドは心の叫びを上げるのであった。

 誘拐計画が失敗に終わり、残るアルフレッドをも始末しようとする男達。だがその時、突如現れた一人の男が、彼らの体を一瞬で切り裂いた。奪われたくないものがあるなら奪えるだけの力をつけておけ。その男―――シンの言葉を聞き、アルフレッドは心を決めた。自分はこの人についていく。姉の言う、強い男になるために・・・・。

 数年後。「完全体」となったアルフレッドは、KINGの部下・ハートとしてケンシロウの前に立っていた。自らの血を見て狂乱し、ケンシロウへと襲い掛かるハート。しかし拳法殺しと呼ばれたその肉体は、北斗柔破斬の前に脆くも敗れ去った。肉が弾け飛び、薄れ行く意識の中、ハートは思った。自分は果たして強くなれたのか―――と。




・アルフレッド14歳。病弱な少年。後のハート。
名前的に西洋っぽいよねえ。舞台もそんな感じだし。しかしこの時点でシンが既にほぼ成人してることを考えると、原作時点までそんなに月日は経ってないのかもしれない。ハート、もしかしてティーンエイジャーなの?
・アルフレッド、ジャックとヘンネルの二人組に拐われる
そもそも彼らは何が目的でこの誘拐を実行したのだろうか?単に金品や資産目的なら別に誘拐する必要がない。そのまま家で縛ればいいだけだし。サラが死んだ時点で計画がおじゃんになった点などを考慮すると、もしかしたら彼らはサラの身柄をおさえることが目的だったのかもしれない。何者かからサラを連れてくるよう依頼されそれが成功した場合は多額の報酬がもらえる予定だったとか・・・いや、死ぬほどどうでもいいなこれ。
・サラ、イギリスの名門大学から推薦を受けるもアルフレッドを置いていけないと断る。
北斗でこんなに明確に国名が語られるのは非常に珍しい。しかもヨーロッパ。今まで中国とインドくらいしか出てへんのとちゃうかな。
・サラ、ナイフで刺され死亡。アルフレッドはその姉の血を見て絶叫する。
これが後の「自分の血を見ると発狂する」に繋がる・・・・とも思えるんだが、それなら自分の血にだけ反応するのは不自然な気もするんだよな。推測するに、それプラス「強い男になれ」というサラの遺言が原因なのでは。自分の血が流れる=自分が劣勢であることを意味する。つまり「自分が強い男でない」という姉の遺言に反することであり、さらに姉の死がフラッシュバックすることで、あのようなバーサク状態になるのではないだろうか。
・シン、手刀でジャックの腕とヘンネルの胴を一刀両断する。
普通にカッコイイんだよなあ・・・・こんな半分ギャグの漫画じゃなくて真剣にシン外伝かいてくれよ。
・シン、強くなりたいと願うアルフレッドに、自分についてくるよう促す。
え、なんで?何目的で?何のメリットがあって?旅行中で変なテンションになってたのかな?
・アルフレッド、完全体となり「ハート」に。
いや、虚弱なイケメン少年が2m声のスキンヘッドブタになってもいいのよ。でもせめて 過程を描いてくれよ。そしたら納得するから。受け入れるから。





キャラクター

アルフレッド(ハート)
 とある美しい町で暮らす良家の少年。14歳。両親が事故で他界してしまったため、姉のサラと、家政婦のエマの3人で暮らしている。病弱であり、医者から体を動かすよう言われているが、学校に行かずに家で鳥と話したり、本を読んだりして暮らしている。争い事がなにより嫌いで、ミルクが苦手。
金銭目的でヘンネルとジャックの二人組に拐われてしまい、それを助けに来た姉サラは返り討ちに遭い死亡。計画が台無しになったとして自らも殺されそうになったが、突如現れたシンによって救われた。その後、自分で身を守れるくらい強い男になれとのサラの遺言、そして奪われたくなければ奪えるだけの力をつけろとのシンの忠告を受け、生まれ変わることを決意。圧倒的な力を持つシンの下につき、強い男になる道を歩み始めた。
 核戦争後、完全体「ハート」としてケンシロウと対戦。拳法殺しの肉体でケンシロウを押し込むが、北斗柔破斬を喰らい、敗北。自分が姉の言う強い男になれたかどうかを問いかけながら死亡した。


サラ
 アルフレッド(ハート)の姉。高校生。病弱なアルフレッドを日頃から気にかけている優しい性格。そのため、イギリスの名門大学から推薦入学の話を受けたが、家を離れなければならないという理由で、それを断っている。古流の剣術をならっているらしく、武道にも長けている。
 通学中、アルフレッドの小鳥が逃げ出しているのを発見し、胸騒ぎを感じて帰宅。家政婦のエマからアルフレッドが拐われたことを知らされ、助けに向かい、長棍で誘拐犯二人に立ち向かった。しかしタフなジャックに大きなダメージを与えることはできず、逆にナイフで刺されて死亡。最期に、自分で身を守れるくらい強い男になるようアルフレッドに告げた。


エマ
 アルフレッド(ハート)の家の家政婦。優しい性格で、病弱なアルフレッドに甘い。
 家に押しかけてきた誘拐犯(ヘンネル&ジャック)に攻撃され、アルフレッドを連れ去らわれてしまい、その後、帰宅したサラに状況を報告した。その後の生死は不明。


アルフレッドが飼う鳥
 アルフレッドが飼うペットの鳥。鳥篭の中に2匹飼っており、アルフレッドの話し相手になっている。誘拐犯が押し入った際の混乱で屋外へと逃亡。サラの通う高校の木にとまっていたところをジェシカに発見され、それを聞いたサラはアルフレッドの身に何かあったことを感じ取った。
 数年後、ケンシロウとシンが対峙する場にも似たような鳥が現れ、幼き日のハート(アルフレッド)とサラが映った写真をその場に落としていった。


アルフレッドの両親
 アルフレッド(ハート)とサラの両親。事故で亡くなった。


ジェシカ
 サラのスクールメイト。弟が心配だからと名門大学への推薦入学を断ったサラに、あなたは変わっていると告げた。その後、学校の木にとまっていた綺麗な鳥をみつけたが、それがサラにアルフレッド危機を伝えることとなった。


ヘンネル
 誘拐犯の一人。短髪の男。相棒のジャックと共にアルフレッド(ハート)を誘拐し、大金を稼ごうと目論んだが、駆け付けたサラをジャックが殺してしまったため、計画はパーに。その後、アルフレッドをも殺そうとするが、シンによって邪魔され、拳銃で立ち向うも手刀で胴を一刀両断されて死亡した。


ジャック
 誘拐犯の一人。黒人、スキンヘッドの男。相棒のヘンネルと共にアルフレッド(ハート)を誘拐し、大金を稼ごうと目論んだが、駆け付けたサラの棒術の前に苦戦。持ち前のタフさで形勢を逆転するも、ナイフで刺し殺してしまったため、誘拐計画をパーにしてしまった。その後、アルフレッドをも殺そうとしたが、突如現れたシンに右腕を切り落とされ、最後は頭部を踏みつぶされて死亡。


シン
 KING軍団のボス。自らをKINGと名乗り、サザンクロスを支配している。
核戦争以前、とある町の路地裏にて、アルフレッド(ハート)が誘拐犯に殺されそうになっている現場に遭遇。ナイフや拳銃による攻撃をことごとく躱した後、南斗聖拳の手刀にて二人を抹殺した。その後、誘拐犯に姉を殺されたアルフレッドに対し、「奪われたくないものがあるなら奪うくらいの力はつけておくことだな」と忠告。それが病弱で内向的だったアルフレッドを奮い起こすこととなり、強くなりたいと望む彼を配下に迎えることとなった。
 後に拳法殺しの肉体を手に入れたアルフレッドを「ハート」としてケンシロウへとけしかけたが、北斗柔破斬にて撃破されたため、自ら挑むこととなった。


ケンシロウ
 北斗神拳伝承者。シンの玉座前にてハート(アルフレッド完全体)と戦い、一度はその特殊な肉体の前に苦汁を味わうも、北斗柔破斬にて撃破した。


バット
 ケンシロウと旅を共にする少年。ハートの肉体の前に苦戦するケンシロウの身を案じた。





流派・奥義紹介

特異体質
ハートが有する、外部からの衝撃をすべてやわらかく包み込んでしまうという肉体。ケンシロウの放った経絡秘孔への突きを無効化し、拳を脂肪の中に埋め込ませ、抜けなくさせた。

北斗神拳
ケンシロウが伝承する暗殺拳。相手の経絡秘孔を突いて倒す事を主体とした拳法であるが、ハートの特異体質に対しては分厚い脂肪に阻まれて秘孔まで拳が届かず、無力化された。

北斗柔破斬
北斗神拳の奥義の一つ。高速の蹴りで体を覆う脂肪をずらし、あらわになった経絡秘孔にむけて拳を突きいれる。特異体質を持つハートに対してケンシロウが使用した。本作では蹴りの連打の場面はカットされている。

南斗孤鷲拳
シンが使う拳法。ジャックの腕を一瞬で切り落としたり、ヘンネルの胴を一撃で分断したりした。

古流の剣術
アルフレッドの姉・サラが身につけていた剣術。長い鉄パイプを用いてジャックを押し込んだが、タフなその体には決定打を打ち込むことは出来ず、腕を掴まれて敗れた。



月刊コミックゼノン27号(2013年2月号)掲載