セカンドの美学

2020年8月30日

昨年の7月27日、BSプレミアムにて


『セカンドの美学 北斗の拳・ラオウ』


という番組が放送されました






「ヒーローの影で独特の存在感を放つ脇役(セカンド)の美学に迫る」という番組で、他にもシャア・アズナブル峰不二子にスポットを当てた回が放送されているようです。


ラオウ様を信奉する者として大変楽しみにしていたのですが、放送5日前に急にBSが映らなくなるというまさかの事態が勃発。視聴叶わず涙に暮れたのですが、その2ヶ月後、マーサン様からダビングしたBDを譲り受け、無事拝聴することができました。ありがとうございました。


で、放送から一年以上経過した今、レビューを書きます。







元横綱・稀勢の里の憧れの人物であり、人気投票1位をの男、ラオウ。


その男の人気の秘密を探るべく、NHKが特別取材班を結成。


単行本全27巻、アニメ152話を調べ上げ、ラオウ様の登場している全2016コマを全て切り抜いて並べるという、逆に見辛くない?って感じの画角を用意して番組がスタート。







今回はその取材班に、筋金入りの北斗の拳マニアを自称するV6の井ノ原さんが志願のスタッフ入り。24時間TVのメインMCお疲れ様です。


ナレーションは古田新太さんです。関ジャムお疲れ様です。



番組内容としては、ラオウ様を深堀りして浮かび上がった7つの美学をご紹介するといったものらしいです。





まず最初は、昨年「春の四万十周遊百裂拳」を開催していた高知県四万十町へと赴き、期間中に役場の玄関に展示してあった等身大ラオウ様像の取材。





等身大と銘打ってるんだから、この像の大きさが実物のラオウのサイズって事でええやろみたいな感じで、メジャーを使って色々な部位を計測。一般の人間がやろうものならすぐさま警備員がすっとんでくる所業なので、これはグッジョブだ。


結果、データバンクに無い数値としては

靴サイズ……37.5cm
上腕周り……67.5cm
太腿周り……86.5cm


といった身体データが明らかに。
上腕に関してはギネス記録(64.77cm)を超えていますね。






更に調査班がラオウ様のプロフィールを調べた結果、「KINGは関東一円を支配している」という台詞から、ラオウ様の住所は関東と推察していた。


なんで?

KINGが支配してるっつってんじゃん……


まあ、ラオウ外伝によると、拳王府の元となった鬼巌城は北関東にあるらしいので、結果的には正解してるんですけどね…









更なるラオウ様のプロフィールを調べるべく、いのっちが原先生の事務所へ。






お宝原稿や当時の鉄板エピソードなどもそこそこに、早速タブーとも言える質問をいのっちが投げかける。



井「実際ラオウって何歳で亡くなってるんすか」

原「いやそんな考えたこともない」

井「あ、マジすか」






原「多分35(歳)まででしょうね」





うおおおおお!!!


言質取ったりぃー!!






この原先生の発言、放送された当時に既に報告を受けて知っていたのですが、実際に放送を見てみると



井「あ、35(歳)くらいですかね そんなもんですか」

原「そんなもんじゃないですか?」

と続けておっしゃっておられたんですよ!




テロップの「35歳まで」という発言だけでは、いまいちハッキリしませんよね。没年が30歳だったとしても「35歳まで」になるわけですし。

しかし、いのっちの「35(歳)くらい」という発言に肯定されておられるという事は、更に絞られたと言ってもいいんじゃないしょうか?個人的な感覚で言わせてもらうなら、最低でも「33歳〜35歳」であると考えて問題ないと思います。




修羅の国を経った時点のラオウ様は、見た感じおよそ8歳くらい。
赤子のケンシロウが0〜1歳として、ラオウ様との年齢差は約7〜8歳。

つまりラオウ様を倒した時のケンシロウの年齢は25歳〜28歳ということになる。

加えて、北斗の拳第一話から、ラオウ様ご逝去までの経過時間は、バットやリンの成長具合から見て、長くても3年といったところだろう。

となると、第一話時点でのケンシロウはおよそ22歳〜25歳ということ。



これにて




(第1話時点の)ケンシロウ18歳説
完 全 論 破


となりました。

ありがとうございました。







続いて、ラオウ様が何故ああいう顔になったのかという質問。

最大の強敵を作るために映画を見て、良い顔をしている人、良い眼をしてる人を参考にした結果、映画『ブレードランナー』でレプリカントのロイ・バッティを演じたルトガー・ハウアーをモデルにされたとのこと。




めちゃくちゃ強いながらも哀しさもあり、その時の表情が良いんですよ、と語られる原先生。

ここまでは聞いたことのあるエピソードだったのだが、そのルトガーの目が青白いように見えたからラオウの目も白に、髪の毛も白の短髪だったのでラオウもそうしたというのは初めて知りました。

ちなみにルトガー・ハウアー氏は、丁度この番組が放送される8日前に亡くなられたんですよね。レプリカント役の怪演は本当に素晴らしいので、映画を未視聴の方は是非一度ご覧になって頂きたい。




更には彫の深さ、眉毛が目の上にのっかってる感じが好きで、自分の描く悪役は大体それがベースになっていると語り、





自らの顔で実践してみせる原先生。


キュートだぜ……






その後、いのっちからラオウ描いてくださいと頼まれ、面倒くせえと言いながらもガッツリ本気でペンを走らせる御大。


仕上がったのがこちら。








いやこれ……お世辞なしにマジで最高じゃない…?
近年原先生がお描きになられたラオウ様の中でも個人的にナンバーワンだわ……
先生冗談で「じゃあ500万で」っておっしゃっておられましたけど、本当にそれくらい出す人いるぜこれ……




最後に、先生ご自慢のレプリカ拳王兜を二人が交互に被って終了。





セクシーだぜ……
9月2日で59歳になられる方とは思えない照れっぷりだぜ……







以上で一つ目の企画は終了。

これらを総括した一つ目の「ラオウの美学」がこちら。





-ラオウの美学1-
「顔に生き様を刻め」






え……美学、弱くない?
セブンルールでも1個目はもうちょい良いのもってくるよ。









お次はラオウ様の内面のモデルになった人物として、堀江信彦氏のもとへ。


原稿が遅くてゴミ箱を蹴っ飛ばした時の堀江さんの怒り具合にオーラを見た原先生が、それをラオウ様の闘気のモデルにした…という恒例のエピソード。





堀江さんのお話を要約すると…


・男兄弟において、弟たちは長男には逆らえない。弟達にとって「壁」であり続けなければならないという長男の生き様が、ラオウに大きな影響を与えていた。

・ラオウがケンシロウ達の前で膝をつかなかったのは、弟の前で弱さは見せられないという長男としての意地とプライド。

・ラオウは団塊世代の典型と言える昭和の男。無口で強烈で、苦しみが無いと人生を楽しめないタイプ。だが突き詰めていくと実は脆く優しい人間。

とのこと。



ラオウ様自身も「北斗の長兄」であるという事に結構こだわりを持っておられましたよね。本来は次兄であるラオウ様が、養子入りしていざ長兄となり、兄カイオウの背負っていた重さを実感したことで、兄としてプライドをより強く持つようになったのかもしれない。

そいや今話題の超人気爆売れ漫画の主人公も言ってました。
「俺は長男だから(痛みを)我慢できたけど次男だったら無理だった」って。
あれも大正のお話だし、やっぱ昔の人間ならではの思考なのかなあ。
俺も昭和生まれの長男だけど、全くそんなの感じたことねえな…





-ラオウの美学2-
「意地を張れ 役割を全うせよ」









お次は北斗神拳に関して。


ラオウ様の使った北斗神拳奥義をスタッフが書き出す。








解散!!


究極奥義もちゃんと書けない輩にラオウ様の何を解き明かせるというのか。

二指真空把入れずに百拳が入ってるのもどうかと思うし。





しかし北斗神拳と言えばやっぱり経絡秘孔だろうということで、そのルーツとされている少林寺拳法を調べるべく、香川県多度津町にある金剛禅総本山少林寺へ。







少林寺拳法の開祖である宗 道臣さんがリュウケンに似ていると紹介されてましたが、ガチで似ててワロタ。





少林寺拳法の経絡秘孔は、いわゆる急所の事で、北斗神拳のそれとは根本的に違いますよ〜っていう想定通りの内容。




それよりも興味深かったのは、護身の拳技である少林寺拳法が重んじる教え。

『力愛不二』

「力」と「愛」は二つならず。
「力」だけならただの暴力だが、「愛」だけでも思いは実現できない。
「愛」を実現できる「力」を日頃から蓄えておかねばならない…というもの。


ラオウ様もそう考えているからこそ、無抵抗を武器にしようとした者達を叱責したのであるというお話。なるほどなあ。







-ラオウの美学3-
「力と愛がなければ人は救えぬ」










次は「名言」について。



さしあたってスタッフがラオウ様の全台詞を抜き出してリストを作成。

その数1199

二年前に私が調査した時は1184だったが…まあ、誤差だな!







「うぬ」「おろか者」「たわけども」など、古風な話し方をするラオウ様の特徴について話を聞くため、今度は武論尊先生のもとへ。







訪れたスタッフに対し「なぐりこみ?」とボケるぶーさん。

そういや原先生は「集金ですか?」だったなぁ。

仲のよろしいこと!






Q:ラオウの人物設定とは

武:何も考えてなかった。ケン"シロウ"だから、ジャギの他に兄二人、細いのとでっかいのを作った。イメージは日本統一に向かっている武将(だから古風な口調)。そのほうが強さが出る。ラオウには重さを乗せたかった。だから馬もでかい。


Q:なぜ戦乱の世を舞台にしたのか

武:北斗連載前に、カンボジアに行った。終戦直後の異質の世界だった。大量の人骨が転がる、ポルポトによる大量虐殺の跡を見て、無常観を感じた。誰か強い奴が現れて、無残に死んだ人たちを救ってくれと思った。それがラオウのイメージ。



ラオウ様が劇中で殺しているのは、主に悪党。自らが悪となり、悪を制する。それが平和への近道だと信じていたのかもしれない……とナレーションが〆て終わり。

原先生と比べるとえらく短いな…




-ラオウの美学4-
「平和のためなら悪になれ」









次は身体能力について。


ラオウ様の身体データを元に、肉体改造のトレーナーさんに分析をお願いし、どうすればあのような身体になれるのかを調査するというもの。面白そう。


まずあの胸板を作るには、自重の2倍の重さでトレーニングしなければならないとのことで、体重145kgであるラオウ様の場合は290kgのバーベルを1日12回上げなければならないらしい。


余裕すぎですね…






そして肉体造りには食事も大事。

あの身体なら一日で39000kcalは消費するだろうとのこと。
タンパク質だけでも2000gは必要という。


それを踏まえて再現した、ラオウ様の1食分がこれ





・赤身ステーキ300g×5枚
・卵白×10個
・ご飯大盛×8
・その他、野菜、果物、ヨーグルト等


これを1日6食食わなければならないらしい。

そらリュウケンもエンゲル係数エグすぎてハゲるわ。







お次は空想科学読本シリーズでお馴染みの柳田理科雄先生に、二指真空把を可能とするにはどんな能力が必要かという調査を依頼。


ボウガンの速度を時速250kmと仮定すると、矢がラオウ様の指の間を通過する時間は0.0058秒。ラオウ様がこれをキャッチするためには、通常の人間の反応速度(0.1〜0.2秒)の17.2倍の力が必要とのこと。

動体視力も同程度であるなら、ラオウ様の目は、普通の人の1/17の速度で物を捉えることができることになる。これは、ボウガンの矢がママチャリ程度の速度(14.5km/h)で見えるほどの動体視力らしい。


なかなか説得力のある解説だとは思いますけど、おそらくラオウ様にとって二指真空把は余裕のよっちゃんだろうから、反応速度ギリギリってこた無いでしょう。計算では我々レベルで0.1秒としていますが、ラオウ様の二指真空把成功率をほぼ100%であるとするなら、我々レベルで1秒は欲しい。

つまり先ほどの数字の10倍……常人の172倍の動体視力と考えても問題ないんじゃないですかね。きっと。









お次はラオウ様の兜の種類に注目。
様々な兜の形状からラオウ様の性格を読み取るとのこと。






番組がピックアップした兜の形状は9種類。

私調べでは11種だが、あまりに細かい違いはカウントしていないようだ。






名古屋にお住いの甲冑師・熱田伸道氏によると、ラオウ様が多種の兜を持っているのは、色々な性格や気持ちを持った人間だかららしい。

大トゲの兜は、威嚇もを兼ねた戦闘用。
聖帝偵察時のローマ帝国風兜は、優雅さ。
無抵抗村時の羽付は、自軍の偉大さを演出。

…といった感じで、TPOによって使い分けておられたとのこと。
マイブームで変えてたわけじゃないってことか。成程。






そんな多数の兜あれど、共通しているのは、コブラの前立ての存在。

熱田氏によると、これはラオウ様にとっての守り神、守護神のようなものであるという。蛇は神の使いで、ツタンカーメンの黄金マスクにもコブラが守り神として装飾されているとのこと。


命を惜しんで戦えば必ず負ける。しかし守り神があれば自信をもって戦える。ラオウもコブラの守り神の力を借りることで、恐怖や心の弱さに打ち勝とうとしていたのかもしれない、と語る熱田氏。


違うと思うぞ






-ラオウの美学5-
「命がけの勝負には神を味方につけよ」




違うと思うけどなぁ……







次はラオウ様の引き立て役であるザコ。


ザコに関しては、これまでも様々な方法でのアプローチの仕方を見てきたが、この番組ではラオウ様にやられた際のザコの声に注目するという。斬新!



日本音響研究所の調べによると

ケンシロウに殺られたザコの断末魔は平均500ヘルツ強(秘孔あり)

ラオウ様に殺られたザコの断末魔は平均400ヘルツ弱(秘孔なし)


つまりラオウ様に殺られたザコの方が声が低いことになる。





人は恐怖を覚えたとき声が高くなる。
数値上で言うと、ケンに殺られたザコの方が恐怖を感じている。
逆にラオウ様はザコを一撃で殺しているから恐怖を感じさせていない。





そ、そうなの…?
虎試験の時のリュウケンと真逆の事言ってるように思えるんだけど…










折角なのでザコ代表の声も聴いてみたいという事で、千葉繁御大のもとへ。


ザコにとってのラオウ様の存在を問われ





ラオウ様について語るとき、原&武両先生を含む多くの人は一定の畏敬を込めてお話になられるのに、千葉御大だけはガチでザコ視点で語られるので、忖度がないんですよね。「ションベンよ!」の陰口ザコを体現するかのようなその振る舞い、まさにプロと言わざるを得ない。


その後は、次回予告を講談調に変えたらお叱りの投書がいっぱい来て、プロデューサーからのお願いで元のシャウト予告に戻されたという鉄板エピソードを語られ、「結局一番のザコは俺」というオチをつけて終了。お見事。







ここでガラっとお題目がユリアに変更。
今までのザコトークは何だったのか?


ユリアに対し「ケンシロウを捨てろ!今日からこの俺を愛するのだ!」と言い放ったシーンを、街ゆく女性達に見せてコメントを求めるスタッフ。



「女心がわかってない」

…まあ、そうかもな。ケンもだけどな。



「ど直球すぎて怖い」

…仕方ないかもしれんな



「このツラだときびしい」

ぶっ〇すぞ






何故こんな告白の仕方をされるのか。
それを調べるため、今度は心理学の専門家にお話を伺うことに。
めちゃめちゃ多方面にご協力仰いでるなこの番組…凄いな。


心理学者の蓑下先生によると、ラオウ様の発言や行動は自己愛性パーソナリティ障害の診断基準に合致するという。(素の自分を愛することができず、己は偉大な存在でなければならないと思い込む障害)





確かに何点か合致してるかもしれんけど…

「己が重要な存在」とか「特別である」って

思い込みじゃなくて事実だしなぁ…







先生は更に瞳孔についても注目。

ラオウ様の瞳孔の開き具合を見れば、彼がどの人物に対して、どの場面において興奮状態にあらせられるかが判るという。





というわけで、ラオウ様の目が描かれたシーンを抜き出し、全て同じ大きさになるように揃え、瞳孔の開き具合を定規で測るという方法で検証を始める調査班。


すげえな…どんだけ手間暇かけてんだこれ。
流石の俺もドン引きですわ…




結果、ラオウ様がエモくなったシーンベスト3は以下



【3位】瞳孔…9ミリ



ケンシロウに敗北した後にお悟りになられたシーン





【2位】瞳孔…11ミリ



無抵抗ガキに抗いを所望されたシーン




【1位】瞳孔…14ミリ



トキの宿命をお哀れみになられたシーン


でした。






-ラオウの美学6-
「兄弟ならば違う道を選べ」




ザコとかユリアの話して最終的にこれ…?







ラストの章は、死に様について。


武論尊御大堀江さんに再びインタビュー


Q:何故、負けたのに「悔いなし」なのか。

武:全部納得ずくで生きたってこと。暴力で統一しようとしたけど、この方法は間違っているので、誰かに潰されるべきだと考えていた。その救世主はケンシロウだと見定め、自分が犠牲になってケンシロウを育てることで、ラオウは自分の使命は終わったと考えた。「悔いなし」はそういう意味だと思う。



Q:何故自らの手で絶命したのか

武:誰も殺せないから。死に際の美学というものがその人生を彩る。
ラオウは立ったまま死ぬべき。絶対に座っちゃいけない。


堀江:負けにも美しい負けがある。ラオウは自分が天下は取れても、天下に合わない人間だと解っていた。だからケンシロウを思っていた。負けたから光る。最高に美しい負けを演出した男。




-ラオウの美学7-
「醜く勝つより美しく負けろ」





以上で企画はすべて終了。
とてつもなく濃い1時間半でした。

最後は、いのっちが取材班の面々と共に夜空を見上げ、ラオウ様に思いを馳せながらエンディング。今回の取り組みは、自分の中の弱さを見つめ直すいい切欠になったとのこと。何よりなことです。




【総評】

これまで北斗の拳を題材にした番組はいくつかありましたが、その中でも力の入れ具合で言えばダントツだったんじゃないですかね。原先生、武論尊先生、堀江編集長に加え、各地方にまで取材に訪れたり、多くの専門家の力をお借りしたりと、とにかく豪華。ただのBS特番とは思えない内容でした。アニメ版の映像をふんだんに使っていたのも嬉しい。正直、なんでこれを本放送の一回こっきりで終わらせているのかがよく分からん。

切込み方も面白い。断末魔の声の高さとか、カロリー計算とか、瞳孔の大きさとか、よくそんな発想出てきたなと。内容的にも、ファンでは踏み込めないレベルの調査ですからねぇ。テレビの力の正しい使い方って感じがしました。

中でもやはりラオウ様の年齢に関する証言を聞き出せたのは相当な偉業と言えるでしょう。それを実現できたのは、この番組のテーマでもある、『2番手のキャラにスポットを当てる』という部分にあると思います。『北斗の拳』という大きな題材で番組を作ってしまうと、きっと一人のキャラの年齢にまで切り込むような質問は出てこなかった筈。あえて焦点を絞ったからこそ、これだけ濃い内容に仕上がったのだと考えます。

残念だったのは、番組のメインである「7つのラオウの美学」が腑に落ちなかった事ですかね…。専門家がそれぞれの視点で解説されるのは良いんですよ。でもそれを「ラオウの美学」と呼んじゃうのは駄目でしょ。あくまで「そういう可能性もある」くらいの扱いに留めておくのが良かったのではないかと。

ともあれ、私にとってもなかなか収穫の多い、良き番組でした。出演者、製作スタッフの方々に敬意を表します。

個人的なお願いとしては、例のラオウ様の絵をコアミに返却して、それを元にグッズ展開してもらえると嬉しいです。買うので。


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