TOP


前の記事へ 次の記事へ


非情の荒野レビュー(2)
2015年11月7日(土)

非情の荒野、実践篇になります。


23体ものホク消し、そして立体的なジオラマを用いたゲームボード。
こんな魅力的なアイテムを用意しといてゲームがつまらないはずが無い。
そう確信し、いざ説明書を読もうとしたのだが・・・・






ん? なんだこれ・・・


えっ・・・・・ まさか・・・これが説明書!?


このA4の片面印刷紙が当ゲームのルールの全てだと言うのか!?



近年どんどん薄くなりつつあるTVゲームの説明書でももうちょいあるぞ!?こんだけの文字数で収められるような単純ルールで、あの豪華なセットを活かしきれるのか!?しかもこの短い中で2種類のゲームの説明してるから更に内容薄まってるし!おまけに最後には「ジオラマで遊ぼう」とかいう全く説明不要な紹介まで入ってんじゃねーか!そんなん要らんからもうちょいボリューム増せや!


・・・なんか、ツクダの16ページ説明書に文句言ったかと思えば、今度はバンダイの超シンプルな説明書にもブーたれて、何でも難癖つけてるクレーマー野郎だと思われてそうですけど、別にそんな難しいこと要求してるつもりはないんですけどね・・・・
極端すぎんねんおまえら。





ゲーム1 「カサンドラスクランブル」


2〜4人用。
開始時にプレイヤーが4個ずつ所持している「星」を相手と奪い合うゲーム。
それにしてもタイトルが秀逸だ。



プレイヤーはケンシロウ、シン、レイ、トキの中から自分のキャラクターを選択。ジオラマの四隅にある「正義の山」という名の高台にそれぞれの人形をセットし、そこをスタート地点としてサイの目の数だけマスを進行していく。正義の山にシンが居ていいのか?

ちなみに高台に上るのは開始時のみで、スタートして一度降りると完全に不要になる。この大味な感じ、好き。





最初は外周の紫色のマスを進行。このルートには対決マスがあり、ここに止まるとバトルが勃発。マスに記されている相手と同時にサイコロを振り――――


出た目と、左図の奥義表を照らし合わせ、技の「強度」が高いほうが勝利となり、相手から星を奪うことができる。もし★3の技で★1に勝利した場合は、その差分である星2個を奪うことが出来る。

対決は、プレイヤーが同じマスに止まった場合にも発生する。








紫ルートの道中にある黄色の丸のマスに止まると、強制的に、もしくは1/2の確率で、内側の緑色マスゾーンへと突入。青丸のひでぶマスで退去させられるまでは、以降はこの内周を進むことになる。

内周には、リン、バット、ユリア、マミヤが捕らわれている「ワルの丘」があり、ここに止まると人質解放。丘に置かれている人質チップを頂戴し、星1つ分として勘定する。
空白となった丘は沼と化し、以降そこに止まってしまうと二回休みとなり、更にその動けない状態の時に他プレイヤーに同じマスに止まられると星一つを無条件で奪われるという憂き目に遭う。

こうして醜い星の奪い合いを繰り返し、最初に星を7つ揃えた者が勝者となる。



うん・・・・・・・ま、普通だ。とりたててコメントしようもない。
タイトルと人形こそ北斗だが、ルールにほぼ北斗関係無いしね。シンがバットとかを解放してプラスポイントになっても、なんか釈然としねえ。

ゲームとしても、戦略的要素が全く無い完全なる運ゲーだが、まあスゴロクってなそういうもんだしなぁ。あまり複雑にしても子供は食いつかないよね。早く終わりすぎる事も無く、そこまでダレることない、良いバランスに仕上がっているんじゃないかしら。


まあ問題は、人形を4体しか使ってない事だね。

あと19体の人形、どうすんだよこれ。完全に余剰アイテムじゃねえか。
次のゲームではちゃんと出番あるんだろうな?頼むよ?





ゲーム2 「シンvsケン 真剣勝負」


なんでシンの名前が先に来てるんだと思ったら・・・・
さっきタイトルを褒めたとこなのに、ちょっと気を許すとこれだよ!



こちらも2〜4人用ゲーム。
先程のカサンドラスクランブルで使用したボードを裏返して使う。





人形の中から好きな自駒を選び、各スタートゾーンに設置。

スタート位置にはそれぞれ3つのサイコロの目が書いてあり、サイを振ってその目が出たら一歩前進。右回り順にサイコロを振っていき、三歩進んだ位置にある「対決ゾーン」に誰かが辿り着いた時点でターン終了となる。

到達者は、いわゆる「親」になり、他のプレイヤー全員と対決。対決方法は先程と同じ。サイコロの目で出た技の星の数で勝負し、勝ったものはその星の差分だけ相手からポイントを奪うことが出来る。到達者のサイの目が1だった場合はボーナスで全員から無条件でポイントを1つずつ奪うことが出来る。

対決が全て終ったら最初のスタート位置に戻り、次のターンを開始。これを繰り返し、誰か一人のポイントがゼロになった時点でゲーム終了となる。


以上!!



うん!つまんねえ!!


駆け引きも逆転要素もないからコクも深みも無い。まごう事なきクソゲーである。しかも先程使用した正義の山、ワルの丘も一切使用しないという持て余しぶり。ボードをジオラマにセットする意味が全くないですやん。ただやりくいだけですやん・・・

まあ、印刷面が二色カラーになってる点を見ても、こっちのゲームは全然力入れられて無い、無理矢理ねじこまれた「オマケ」だってことは明白だからなあ。ルールがちゃんと練られてないのも当然っちゃ当然なんだよなあ。

つか、最初にキャラの指定が無いって事は、人形の中から自由に駒を選べるってことで、それつまり「シンvsケン」なんて謳ってるくせに、シンもケンも全然ゲームに関係ないってことだよね。
クラブや少佐をマイキャラに出来るというレア体験ができるというのはプラスポイントだけど、逆に言うと、どのキャラを選んでも全く関係ない・・・つまり北斗要素ゼロのゲームであることの裏返しでもあるんだよな・・・。


しかし御安心ください。先程のゲームで持て余した数多の人形を、今回はちゃんとゲームに活かしております!どこに?と思われるでしょうが、なんと今回のゲームで各プレイヤーが取り合うポイントというのが、その人形なのです!ゲーム開始前に各プレイヤーに均等に人形を配り、それを花いちもんめが如く奪い合うわけです!
相手からどのキャラクターを強奪し、自分のチームの中からどいつを切り捨てるのか・・・。やり方によってはかなり面白そうなゲームになりえる要素ではあるが、残念ながらこのゲームではケンシロウでもジードでも1体1点でしかないため、個々の魅力は全くない。オンリーワンなど存在しない。人類皆平等。人間の命に重い軽いなどないというバンダイからの有難い教えなのだ。



そしてそれは北斗の拳の世界だけには留まらない。


人の命の重さは、作品の枠を超えても変わらない・・・・
それを証明したのが、説明書の中のこの一文だった。





それ言っちゃうんだ・・・・言っちゃうんだね・・・

何が凄いって、これで遊ぶ人がキン消し持ってんの前提で言ってるところが凄いよね。こんなマイナーゲーム持ってんなら、当時バカ売れ中だったキン消しなんてモチロン持ってんだろおめーらって事だからね。傘とか醤油レベルで何処のご家庭にもあるって認識なわけですよ。いやもちろんうちにもあったけどさ・・・



北斗ボードゲームの中でも随一のレア度を誇るこのゲームは、23体ものホク消しは全くと言っていいほど使いこなせなかった代わりに、キン消しの偉大さはだけ十分に示してくれた、謎のゲームなのでありました。



◆総括

正直、多くの北斗グッズの中でもかなり期待していた一品だったのでレビューやるのも最後の方にとっておいたんですが、なんとも残念な結果に。おそらくは人形ありきで後から無理矢理作った突貫ゲーム故の手抜き仕様なんだと思いますが・・・。最悪、つまんなくても北斗要素へのツッコミどころが豊富ならネタにもなるんですが、それすらさせてもらえないという・・・・。不本意ながら普通の文句しか出てこないんですよね。なんともレビュワー泣かせのゲームよ。

しかしこのゲーム、発想力を育てるには最適だと思うんですよ。こんなクッソつまんねえゲームやるくらいなら自分でルール考えるわ!ってね。そして実際にそうやって遊んだほうが面白い事に気付き、どんなゲームでもメーカーが示すルールに従って遊ぶだけでは勿体無いということを知るのです。普段はそんなことを考えもしない子供でも、このゲームの初見の「ワクワク感」と、実際のゲームの「ガッカリ感」の大きな落差が、それに気付かせてくれるわけですね。クリエイティブに富んだ天才が生まれるのには、案外こういうクソゲーが起因しているのではないかと私は思います。何のフォローにもなりませんが。


前の記事へ 次の記事へ