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山陰隠遁日記 2012/11/2(金)
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先週、二泊三日で島根・鳥取に家族旅行へ行ってきたので殴り書き隠遁日記。
北斗色は全く無いのであしからず。本当にただの日記。



10月26日


 朝9時に家を出発。舞鶴西ICから高速に乗って南へ。方角的には島根・鳥取はほぼ真西なのだが、そっちのほうに高速が伸びていないので、一度兵庫の三田辺りにまで南下して中国道に乗り、岡山を経由する必要があるのだ。日本海側から日本海側に向かうのに瀬戸内海近辺まで南下するという不条理。


 3時間ほどで岡山県の津山で高速を一度降り、道の駅「久米の里」にて昼食。津山名物ホルモン饂飩を頂く。
 なぜ態々高速を降りて、こんな道の駅なんかで飯をとったのかというと、ここには



Zガンダムがいるから


 ぶっちゃけガンダムシリーズはほぼノータッチなんだけど、折角やし見たいやん。
 まあ話の種になればいいかなってのが大半なんだけど。

 ちなみにこの全長7メートルのモビルスーツは、13年ほど前に地元のガンオタが一人で作り上げたものだという。オタクも極めると地元に貢献できるレベルにまで昇華されるのだな、と感動する。




 津山を過ぎて暫くしたあたりでググッっと方角を北に戻し、鳥取に突入。つっても高速を降りた米子は鳥取の西端であり、位置的にはもうほぼ島根。鳥取にちゃんと行くのは翌日からだ。


 ・・・と思っていたのだが、思っていたよりも早く高速を走り終えてしまったため、予定を繰り上げ、明日行くつもりだった境港に行くことにした。

 この町は、一言で言ってしまうと水木しげる御大の街だ。単に御大の故郷というだけではない。空港に「米子鬼太郎空港」なんて名をつけちゃうほどゲゲゲな町なのだ。おそらく住民の8割は妖怪であろう。


 メインストリートである水木しげるロードに行くと、そんな妖怪たちが観光客達を相手に鬼太郎グッズを売りさばき、銭を巻き上げていた。妖怪も銭が無くては生きていけない世知辛い世の中なのだ。
 しかし鬼太郎は数年前にゲゲゲも墓場もアニメやってたし、女房もヒットしたし、こないだまで家計簿も連載してたし、話題に事欠かないから客足も順調だろうなあ。




 その後、程なく鳥取を後にし、島根へと突入。日本で七番目に大きい湖、宍道湖へと辿り着く。本来はここで遊覧フェリーに乗って宍道湖の夕日を愉しむという家族旅行っぽいベタなイベントを行う予定だったのだが、船嫌いの母がこれを頑なに拒否。私に旅の予定の全てを任せておきながら現地でNOというその神経が信じられない。

 そんなわけで急遽予定を変更し、第二候補であった松江城に行くこととなった。私個人としてはこちらのほうが好みなのでまあ別にいいのだが、本来予定していなかった訪問地であったため、時間はギリギリ。天守の観覧が5時までだというのに着いたのは4時20分。4時半に入場チケット〆切との事なので、一足先に降りて本丸へと駆け、なんとか人数分の入場券を買うことは出来たのだが、車を置きに行った母がまさかのヒールで入城という傾奇ぶりをみせたため、それを待っていた私も結局天守に入ることは出来なかった。松江城の天守は、国内で現存する十二天守のうちのひとつで、唯一の正統天守閣とも言われている重要文化財であるため、是非とも見てみたかったのだが、まあ仕方ない。祖母が入れただけ良しとする。



 6時に宍道湖を見渡せるホテルへとチェックインし、バイキングだというのにチゲ鍋を重点的に攻略するという攻めの姿勢を見せ、ダラダラと新料理の鉄人と容疑者室井慎次を見ながら就寝。テンションあがりきったどこぞの高校の女子弓道部員が弓でエレベーターの天井を破壊し、従業員に結構キツめに怒られていたのが印象的だった。





10月27日



 朝6時起床。清澄な空気を吸いながら、朝日に照らされる宍道湖の湖畔を散歩し、とても爽やかな気分で二日目のスタートを迎えるも、ポケットの中に入れておいたオロナミンCがポッケ内で漏れてしまうという事態が発生。コンビニのトイレでジャンパーのポケットを洗わされ、一気にテンションが下がる。


 朝から容赦なくバイキングをかっこんだ後、ホテルを出発し、出雲大社へ。一応この旅行のメインスポットだ。
 そもそも何故今回、島根は出雲に来たのかということ、旧暦十月の神無月の間、全国の神々が出雲に集い、この地だけが「神在月」になるからだ。どうせお参りするなら神が一同に介している場所のほうがお得な感じがするという、いかにも効率厨らしい考え方であると言える。ただお気づきの方も要ると思うが、新暦の十月二十七日である今日は、旧暦十月ではない。つまり厳密に言うと、いや厳密でなくとも、
まだこの時点では神在月ではないのだ。
しかしまあ神の中にも待ち合わせ時間に遅れまいと先乗りしている輩がいるかもわからんし、だいたい真の神在月になったら宿なんかとれやしないので、このちょいズレは致し方なかったのである。



 宍道湖の沿岸を一時間ほど走り、出雲大社へと到着。 ここの見所である太さ8m、重さ5tの注連綱は流石のインパクトだったが、まあ正直それだけだった。京都でいろいろな神社・仏閣を巡った立場の者からすると、そこまで響く程の場所でもないのかもしれない。また、やはりフライングだったのか、神々の気配も全く感じなかった。どちらかというと、県境の町で感じた妖気のほうがいくらか強かったように思う。まあメインである本殿が改修中で入れなかったというのもあると思うので、次来ることがあるなら真の神在月に、本殿のほうへと入り、暇をもてあました神々の遊びでもやってみたい。




 「出雲そば」で検索して食べログ2位だった店「羽根屋 本店」で昼食。11時半頃に到着し、待ちなく座れたのだが、店を出る頃には凄まじい行列になっていた。おそるべし食べログ。


 宍道湖を一周する形で今度は東へと車を走らせ、再び鳥取へと突入。旅が始まってまだ半分だが、ハッキリ言ってこれ以降は大した観光地が無いので(失礼)もう既に気分は帰路。あとはその帰路の中でどれくらい山陰を愉しめるかが鍵になる。


 道中でまず差し掛かったのが、大山と書いてダイセン。鳥取を代表する名山であり、紅葉スポットやスキー場として名高い山だが、私がここに来た理由は、大山乳業さんのカフェオレが大好きだからだ。東北に行ったときに小岩井農場を訪れたのと全く同じ理由である。その山の中腹にある「みるくの里」なる施設にて、散々大山乳業グッズを購入し、ゲロ美味のシュークリームとコーヒー牛乳を飲みながら下山。まあ別にここに来なくても十分食べれるものばかりなのでどうということはなかったのだが、山姿や山道のドライブルートが思ったより見ごたえがあったので満足。


 お次に立ち寄ったのは、白兎神社。因幡の白兎で有名なあの白兎を祀った神社だ。イナウサの話は朧げにしか覚えていなかったのだが、そういえばあの小ずるい兎が最後のほうで神にランクアップしていたような気もする。
 神社自体はガイドブックにも載っていない小じんまりしたスポットだったのだが、物語の兎がそうであったためか、縁結びのためのハート型の絵馬がやけに目立った。あと、東方キャラが描いてある絵馬もメチャメチャあった。どうやらそういうキャラクターがいるらしい。前日に引き続き、ここでもオタクのパワーをまざまざと見せ付けられる形となった。儂も北斗でなにか地元に貢献できんだろうか。



 夕方五時半に鳥取市街へ到着。私は二度目の訪問となる。前回来たのは8年前の正月だったのだが、正直言って、駅前の雰囲気とか、付近の商店街の様子とかに、全く月日の変化を感じなかった。数ある県庁所在地の中でダントツの寂れ具合は今も健在。先日訪れた秋田もなかなかのものだったが、あっちはそのうちシェールオイルで潤いそうな気もする。鳥取もなんか出さないのかな。砂漠持ちのくせに。


 晩飯は鳥取全く関係なくしゃぶしゃぶ。食いすぎたために散歩でもしようかと思ったが、雨が降ってきたため、仕方なく目に付いたカラオケ屋に入りヒトカラで微量のカロリーを消費。8年前にカラオケ屋に宿泊し、一番初めに起きてハイロウズの青春を歌った奴が支払い免除という勝負をした思い出を胸に、あの時出遅れて歌えなかった青春を熱唱する。しかしドリンク無しで一時間1000円は高い。その後ホテルに戻り、エクスペンダブルズを見ながら就寝。スタローンの回転の速い全力疾走はいつ見ても面白い。



10月28日



 朝6時起床。雨があがっていたので、例の如く朝散歩。鳥取市街を徘徊する。が、少々運動が過ぎ、気付けば2時間が経過していた。しかし8時にもなろうというのにこの人の少なさはなんなんだ。


 宿を出て向かうは、鳥取砂丘。ここも当然訪問済だが、なんだかんだ言って鳥取に来たらここを訪れなきゃダメだろう。というか他に行くような場所も無いし。しかし何度来ようがやる事は変わらない。360度が砂景色でないことにガッカリし、砂丘を登るしんどさに驚嘆し、浜風で舞い飛ぶ砂塵でスリップダメージを受け、らくだには乗らず、最後にクツの中に入った砂を落として帰る。ほぼ前回の道程をそのままなぞるという結果になった。むしろ他に何をすればいいのか。



 ただ一つ、以前と違っていたのは、この砂丘の傍に「砂の美術館」なるモノが出来ていたこと。早い話が札幌雪祭りの砂バージョンのようなものだ。ただそれらの砂像は、決められたコンセプトの下、海外のアーティスト達がこしらえたものなので、芸術的ではあっても、娯楽性はほぼ皆無と言えた。外のフロアにマドハンドを数本生やしておく程度のセンスはあっても良いのではないか。



 2時間散歩&砂丘登頂で完全に枯渇していた体力を、変な海鮮ラーメンを食べて回復させ、鳥取を後に。
 うねうねにうねったリアス式の海岸線をひたすら走り、城崎の温泉街の喫茶店で一息つき、2時頃に出石(いずし)に到着。ここもまた蕎麦で有名な地だということで、「そば庄鉄砲店」にて二日連続のそばランチ。私の中では蕎麦は麺類ランキングにおいて結構下位のほうなのだが、同行者達のランキングでは軒並み一位なので、涙を呑んで私が折れる格好となったわけだ。とはいえこの二日で食べた蕎麦はいずれも絶品であった。少しランキングが上がったかもしれない。
 店を出た直後に豪雨に見舞われたが、この蕎麦屋で本当に旅の予定が全部終了したため、ある意味グッドタイミングと言えた。


 午後四時半に帰城。お疲れ様でした。
 もし島根や鳥取に行こうと考えておられる方がいらっしゃるなら、11月にどうぞ。
 神在月もそうだけど、カニ漁の解禁が11月なので。


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